9/28 Gestor　（Cierre de emergencia Ⅱ）

続きです。

　３月１４日から始まった外出制限令は非常に厳しく、許されるのは食べ物と生活必需品の買い物、医療機関の受診、
介護サービス、銀行での引き出し位だった。
　犬の散歩は許されるが、人間の散歩は禁止、葬式や結婚式で集まるのもダメとなった。全ての市民は、氏名と住所、
納税者番号、外出理由を書いた書類を用意して外出しなければならない。警察官があちこちで検問をした。
　違反すると、１２，０００円から７２０万円の罰金が科される。悪質な場合は、１年間の禁固刑となる等、欧州で最も
厳しい罰則が定められた。春という外出したい時期の実施で、３月末までに２５万人が罰金を支払う羽目となったが、
連日の報道を見聞しても、同情する声はなかった。

　この厳しい外出制限が守られたのは、次の二つの理由があった為と考える。
　先ず、感染者と死者が恐ろしい勢いで増え、２０２０年３月３０日には、９，２２２人が新規感染者となり、累計死者数
は８，１８９人となった。死者の９割は７０歳以上の高齢者だった。スペインの人口は約４，７００万人で、内約４８５万人
は外国人である。

　次に、経済的な救済策が決まっていたことにある。３月１４日の発令から８日目に救済策が発表された。収入が
７５％以上減った自営業者には、平均所得の７０％を国が補償することとなっていた。

　中小企業が従業員の給与支払に銀行から借りた場合、その８０％は国が補償した。そして、企業にウイルス禍を
理由にした解雇を禁止した。家賃は支払い猶予が認められ、滞納を理由にした追い出しは禁止された。電気、ガス、
水道代の支払い猶予も認められた。

　この救済策には細かな条件が付いており、申請手続きは簡単ではない。しかし、スペインには難しい救済策の
救済人「へストール（gestor）」なる職業人がおり、日本で言えば、行政書士、会計士、税理士、社会保険労務士
を兼ねた仕事をする。
　商店、事業所も例外なく契約しており、自分の豆腐屋も勿論契約している。ここに申請の代行を依頼すると、
書類との格闘をしなくても済む。厳しい外出禁止令でも平静が保てたのも、この仕組みに負うところが多い。

　未だ続けます。

９月２８日　　日本では「検問」だけで忌避反応？　　T.HoSoDa